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机を技術者らしくDIYしてみる

引っ越しに際して色々家具を揃えていたのですが、なかなか「これ!」と思えるデスクが見つからず、あってもすごく高額だったりしたので、一念発起してDIYしてみることにしました。作った上で得られたものは

  • 完全なセルフオーダー家具
  • 拡張性による家具の自由度向上
  • 「このぐらいのことはできる」っていう自信

こんな感じでした。後学のため、設計から組み立てまでのメモを残しておきます。

天板選び

ひとえにデスクDIYと言っても非常に多く選択肢がある。まずデスクの天板部分の選定をしていくが、そもそも現代、安く買えるデスクの天板はその大半が木製ですらなかったりする。天板の種類は大きく分けて以下の通り。

  • 無垢板(木板というとこれ、というイメージ)
  • 積層板(長方形の木材を接着剤で貼り合わせたもの)
  • MDF+化粧板(一昔前はこれが多かった)
  • ハニカムコア(ハニカム構造のダンボールが埋め込まれた木板)

上に行くほど値段が高い。安いデスクだとほとんどが1番下のハニカムコアになっており、強い衝撃を与えるとこういう風に壊れたりする。ダイニングテーブルやシェルフなど、強い負荷がかからない用途ならこれで十分なのかもしれない。

以前はMDF+化粧板のデスクを使っていたのだが、だんだん化粧板がめくれて劣化してきたので、次はもう少し長く使える積層板に決めた。無垢板も一応検討してみたが、段違いで高いので今回は見送り。

ショップ選び、設計

木材の入手先だが、ホームセンターでも買えないことはないのだが加工や配送が手間だったりしたので、事前加工を指定できるオンラインショップを探しにした。今回はマルトクショップというところで頼んでみた。

かなり多くの木材を選べるのだが、貧乏人に選択肢などあってもないようなものだ。1番安いゴム材を選ぶ。ゴム材というのは、あの天然ゴムの元になるゴムの木を使ったもので、とにかく安い。同じくらいの値段でパイン材もあるのだが、こちらは針葉樹であり、広葉樹のゴムより若干傷がつきやすく、デスクには少し不向きらしい。

続いて天板のサイズだが、幸いなことに引っ越し先が結構広く、どうせならサイズは大きい方がいい。ここはこのサイトを参考に1400×700にしてみる。 天板の厚さについては、簡易的に曲げモーメントと許容応力を比較してみて大体これくらいあれば十分だろうという判断で25mmにしてみる。素人計算ではあるが、まあ、ぶっ壊れたらその時はその時。大惨事になるけど。

追加加工として穴を開けたりできるので、天板の脚を取り付けるために指定する。塗装もできるが、結構値が張るので私はパスして自分でやることにした。ただプロがやってくれるので、 余裕があればやってもらう方が絶対良い。

ウレタン塗装 の仕方【マルトクショップ】 - YouTube

注文すると、加工も含めて2週間程度。GWを挟んだので結構時間がかかった。

脚の設計

先述したマルトクショップでも脚が注文できて、それに合わせた加工も向こうでやってくれるのでこれが1番楽なのだが、工場などでよく使われるアルミフレームを応用してデスクにした事例が結構ある。

アルミフレームで作業机を自作する~構想・設計編~ - Suzu Mono-gram | すずモノぐらむ

実は、半分はこれをやりたくてDIYすることに決めた。アルミフレームだとアタッチメントが充実しており、後から拡張できたりして色々便利そうなのでこれを考えるのが結構楽しい。今回私は円柱形のSUS GFシリーズを使用した。


SUS公式サイトより引用

通常のアルミフレームより若干高いが、それでも埃も溜まりにくい構造なので掃除もしやすく、最もアクセサリが充実しており廃盤にもなりにくそう(先例のブログにあったXFシリーズは廃盤になってしまった)というのが選定理由。カット前の製品は結構ホームセンターなどでも売ってる。私はG-FunオンラインストアというSUSの公式ショップで購入した。結構嵩むが、アンケート回答などすると一気に20%値引きされたりするので、まとめて買う分にはおすすめ。

注意: G-Funオンラインストアやホームセンターで買えるアルミフレームは法人向けより若干強度が低めに作られているので、強度計算をする時はG-Funのカタログを見ること。


設計書のラフ。右側は一緒に設計したカウンターテーブル。

脚と天板の到着

こんな感じのサイズ感で届く。

塗装: 均等に塗るのが難しい

ウレタンニスを一緒に買っておいたので、紙やすりで削った後でこんな感じで塗っていく。塗り方はこちらを参考にした。何度も塗り直したりするとムラが出たりするので、とにかく一発で塗り切るのがコツ。

少し乾かしたのち、もう一度紙やすりで削ってから重ね塗りをするとより保護されるようになる。

足の組み立て

塗り終わったら、脚を組んでいく。まずは仮組して、固定用の穴を開ける位置を現物合わせで。仕事だと多分怒られるやつだが、DIYなんである程度は適当で良い。

簡潔に済ませたいなら木ネジを使ってぐりぐり埋め込んでしまうのが良いのだが、やはり取り外して持ち運んだりしたいので、鬼目ナットを使う。これと六角ボルトで、脚をつけたり取り外したりができるようになる。個人的に木ネジは不可逆なのが好きではない。

注意: そんなに発生するミスではないかもしれないが、天板の厚みが鬼目ナットに必要な下穴の深さに対して結構ギリだったので少し浅くしたら、鬼目ナットのネジ部分がなめて使い物にならなくなった。下穴はちゃんと規格より余裕を持って開けよう。

鬼目ナットが埋め込めたら、いよいよ組んでいく。こういう筋交はちゃんと入れとかないと、結構がたつく。

完成!いい感じに仕上がったのでは?

みんなも机作るといいよ。

あまりDIYらしいことは今までやってこなかったんですが、やっぱり自由にカスタムできるのはいいですね。既製品はあちらを立てればこちらが立たずで妥協が必要になってきますが、こちらは金に糸目をつけなければなんぼでも盛れます。その点で、今回紹介したようなマルトクショップは脚をセットにしたプランもあるので、楽にやるならこれでも全然大丈夫です。

それでも私がアルミフレームを採用した理由は拡張性です。アルミフレームは規格化されたパーツがいろいろ売っているので、後からどんどん継ぎ足せます。

また、これは最初から意識していたのですが、「このくらいの家具なら作れるぞ」という自信がつきます。成功体験は大事です。やれる事が増えるってすばらしい。

デメリットがあるとすれば、やはりコストですね。見積もりを取ってみると、総合で3万5000円くらいでした。量産品の凄さを実感します。MDF+化粧板の合理性は今回身に染みました。ただ、完全オーダーメイドでデスクを作ってもらうことを考えると、工賃は丸々浮くことになるのでそう考えると大きな負担ではないです。

そんなわけで、新しい机を使い倒していきます。